DeFi投資は一般的に言われるインカムゲインに相当しますが、暗号資産特有の投資が行われています。どんな投資方法なのか、紹介していきます。
DeFiとは
DeFiは「Decentralized Finance」を略した言葉で、日本語に訳すと「分散型金融」になり、
その歴史は2017年頃から始まったと言われております。
簡単に説明すると「イーサリアムのスマートコントラクト機能を使用した、管理者が不在の非中央主権的に取引が行われるプラットフォームの総称のこと」です。
その中に、DEXと呼ばれる暗号資産取引所というカテゴリが存在します。
これは「Decentralized Exchange」の略称で、管理者が不在の分散型取引所のことを言い、
代表的なものが「Uniswap」や「Pancakeswap」などがあり、他にもレンディングサービスに特化したCompoundなどがあります。
一方で管理者が存在する取引所はCEX(Centralized Exchange)と呼び、管理者が存在する取引所のことで、日本で言うとコインチェックやビットフライヤーなどの暗号資産取引所が該当し、暗号資産以外も含めると銀行などもそれにあたります。
2021年は暗号資産の投資はNFTに主役を奪われてDeFiは影をひそめてしまいましたが、その人気は衰えることはありませんでした。
下記の表の通り、2021年8月頃はNFTに資金が流れていましたが、9月に入るとNFTの取引量は減少に向かう一方で、DEXの取引量は増加しています。
更に、毎日のように世界中で新しいDEXのプロジェクトが誕生しております。
このようなことから見ても、DeFiへの投資は魅力的であり、人気を博していることがわかると思います。
表1:DeFi 取引量
(引用元:https://www.theblockcrypto.com/data/decentralized-finance/total-value-locked-tvl)
表2:NFTマーケットプレイス別取引量
(引用元:https://www.theblockcrypto.com/data/nft-non-fungible-tokens/marketplaces)
DeFiでの投資方法
DeFiの投資は、レンディングと呼ばれる暗号資産の貸出で利益を得る方法になります。
具体的にはDEXごとで方法が異なりますが、ここでは代表的な流動性提供の投資方法を説明します。
- DEXに流動性を提供することから始めます。
主に二つの暗号資産を一対一のペアで提供し、流動性提供をしたユーザーにはLP(Liquidity Provider:流動性提供者)トークンと呼ばれる、いわば流動性を提供した証明書のようなものが配布されます。
- このLPトークンをDEXに預けることを「イールドファーミング」と呼び、ファーミングした対価として、DEXが発行している独自通貨を受け取ることができます。
- これらの一連の流れはAMM(Automated Market Maker:自動マーケットメーカー)と呼ばれる、ブロックチェーン上で自動的に処理する仕組みにより運用されています。
これにより、一度プールした暗号資産は放置のままで、毎日金利が提供されていきます。
- 利率例を紹介
具体的にどのようになっているか、参考にPancakeswapと呼ばれるサイトで説明します。
(引用元:https://pancakeswap.finance/farms)
上記はほんの一部ですが、例えばCAKE[1]とBNB[2]のペアはAPRで41.43%、AOG[3]とBNBのペアは396.73%という高めのAPRになっています。
流動性が高い通貨はAPR(APY)が高く、マイナーな通貨など、流動性が低いものは高めに設定されます。
また、DEX独自の通貨も流動性を高めたいのでAPR(APY)が高く設定されますが、安定してくると率が下がってきます。
[1] Pancakeswapの独自通貨
[1] バイナンス取引所の独自通貨 [1] AgeOFGodsの通貨
上記のPancakeswapにおけるCAKE-BNBのペアも、一時期に比べるとAPRが若干下がってきていますが、それでも41%あります。
この報酬はDEXの独自通貨を使用するので、Pacakeswapで言えばCAKEが設定した利率に基づいて毎日配布されます。
このように各DEXでは、通貨ペアごとにAPR(APY)が設定されて、一度預けると自動で利益計算され毎日報酬が配布されます。
受け取った利益はそのまま放置しても良いし、自分の好きなタイミングで回収することも可能です。
なお、単体の暗号資産レンディングの場合、日本でも対応している取引所がありますので、次回以降で紹介できればと思います。
DeFi投資の注意事項
APRの数字だけ見るととても魅力的ですが、やはりリスクは存在します。
インパーマネントロス
とても複雑なので詳細は省きますが、変動損失と呼ばれるもので、暗号資産の価格変動により、損失を招いてしまうものです。
特に、先ほど紹介したようなAPRが300%のような、ハイリターンのものは、やはりハイリスクになりやすいので注意が必要です。
複雑なインパーマネントロスを自分で計算することはほぼ不可能ですが、チェックしてくれるサイト(https://www.yieldwatch.net/)がありますので、流動性提供後は時々サイトで確認することをお勧めします。
なお、通貨ペアには法定通貨にペッグされた、ステーブルコインのペアでのファーミングも可能です。
ステーブルコインですと、価格変動が極めて少ないので、とてもリスクの少ない運用が可能になります。
先ほどのPancakeswapの場合、ステーブルコイン通しのペアは5%程度、ステーブル以外の暗号資産とステーブルコインのペアになると10%から40%のAPRが設定されています。
他にもステーブルコイン単体のファーミングで20%程度を安定的に運用できるDEXも存在しますので、このような運用方法も安全な方法として活用できます。
ガス代がかかる
暗号資産の取引には必ずガス代がかかります。
NFTなどもそうですが、使用するブロックチェーンによってガス代が変わります。
DEXで取引する暗号資産以外に、使用するブロックチェーン毎の暗号資産を準備する必要があります。
海外の取引は全て自己責任
DeFiのほとんどが海外での取引になりますので、全てが自己責任での運用になります。
また、詐欺も横行しています。
偽サイトも数多く存在し、そこにアクセスするとメタマスクなどのウォレット内の資産が全部抜き取られてしまうなどの被害も相次いでいます。
また詐欺でなくても、慣れないウォレットの扱い方を間違えてしまうと、送金したはずの暗号資産が着金せずに、そのまま戻らないこともあります。
今回は、DEXの取引について簡単に紹介しましたが、実際に投資を行う場合、ウォレットなどの準備から始める必要もあり、慣れるまでは慎重な作業が要求されます。
しかし、安全な取引を心がければ、高利率での収入が獲得できるのでとても魅力的な投資であると言えます。
次回以降は、いくつかのDEXを紹介しながら具体的なファーミングの方法などを紹介していきます。