メタ(元フェイスブック)社が開発を進めていた仮想通貨を覚えていますか?
当時は「Libra」と言われていて、一時日本でも騒がれていました。
Libraプロジェクトはその後、「Diem」と名を変えて継続されていました。
しかし先日メタ社は、このプロジェクトを売却したと発表しています。
新しくプロジェクトを担うシルバーゲート・キャピタルという金融機関です。
今回はプロジェクトを引き継いだシルバーゲート社の目線から、「Diem」の将来性について深堀します。
参考:Metaの仮想通貨プロジェクト「Diem」が終了–資産を売却(yahoo!news)
参考:Silvergate Keeps Its Stablecoin Dream Alive After Diem Purchase(bloomberg.com)
「Diemコイン」とは
Diemプロジェクトは2019年、Libraという別の名前でスタートしました。
目的は、紙幣通貨と証券に裏付けされたステーブルコインを発行することです。
しかしプロジェクトは多くの規制や法律の圧力の中で規模が縮小されてしまいます。
Diemコインは始動せず、創設者のDavid MarcusはMeta社を去り、創設パートナーのうちの5社がプロジェクトから離脱しています。
シルバーゲート社は2021年に初めてディエムと関わり、ディエムの安定コインの独占発行者になることに同意しました。
同年11月に米大統領府の発表した報告書で、「ステーブルコインは銀行が発行するべきだ」と提言されていたことをきっかけに、シルバーゲートとDiemプロジェクトは再始動し始めます。
銀行が目指すステーブルコイン運用
シルバーゲート社が考えるステーブルコインの収益プランは3つあります。
1、コインの発行手数料
2、小売店の取引手数料
3、裏付け資産として保有する米ドル準備金の金利運用
シルバーゲート社はDiemの決済ネットワーク、ステーブルコイン、知的財産を買収しましたが、その従業員は一人も引き入れませんでした。
「われわれは、Facebook社やDiem社の人間を雇ったわけではありません。われわれは、決済ネットワークを運営する規制された金融機関なのです」。
CEOのアラン・レーン氏はこう述べていて、元Diem社が規制当局に悪印象を持たれていたことは心配していないとのこと。
サービス展開のタイミングとその範囲は、規制当局の承認に依存するともされています。
Diemの将来性
シルバーゲート社は、Diem資産の購入価格合計1億8200万ドルのうち、1億3200万ドルを株式で支払っています。
Diem社の元メンバーの多くが銀行株主となります。
具体的な内容は明らかにされていませんが、数人の元メンバーは今もブロックチェーン・ネットワークのノードを運営しているようです。
元メンバーに同社の株式を配る事で、プロジェクトを応援してもらう体制を作っているように見られます。
DAOとガバナンストークンの仕組みに近いのかなと思います。
計画中のステーブルコインを発行して利用するために、銀行のコンソーシアムを作ることも検討していると、レーン氏は述べています。
ステーブルコインの利用に際し、大量の消費者利用に拍車をかける可能性があるのは、FacebookやUberのような巨大な消費者向けサービスであることを理解しているという事です。
DiemプロジェクトがMeta社の手を離れたため、話題性が薄れるような印象がありますよね。
しかし、シルバーゲート社の堅実な計画を理解すると、むしろこれから面白くなるプロジェクトではないかと感じています。